組合員活動報告
どうなってる?核のゴミ最終処分
~北海道・岐阜の深地層研究所をめぐる市民の活動から学ぶ~
□開催日:2021年12月15日(火)
□主催:脱原発ネットワーク
□会場:オンライン(zoomミーティング)
今年の夏、急に浮上した北海道寿都町の「核のゴミ」最終処分場選定の文献調査応募について、驚いた方も多いのではないかと思いますが、30年以上前からこの問題に向き合ってこられた北海道幌延の久世さんと岐阜県東濃の兼松さんにお話を伺いながら、改めてこの問題について考える機会を持ちました。
・北海道幌延 久世さん: 共同購入会から生産者へ兵庫での自給自足の生活。その後、より豊かな自然を求め北海道幌延に移った翌年、1986年に旧動燃(現原子力機構)が核ゴミ地層処分のための強硬調査を行なった。11月23日は今も毎年「幌延デ-」として反対行動を継続している。反対署名をトラクタ-で3日かけて知事に届けるなど地域住民の強い意志を示したが、「処分場と分離して深地層研究所だけを20年間設置する要望」を自治体が許可。すでに20年を経過したが、さらに掘削深度を下げて運営延長する申し出が出ており、引き続き動きを監視し運動を継続することが必要である。運動を継続するためには、地元に仕事があり次世代が働ける環境が大事と思い、工房を作った。今は娘さんが協力しながら経営している。
・岐阜東濃 兼松さん: 核ゴミの深海投棄が国際的に禁止されたため国が廃棄方針を地層処分に転換、東濃にウランの露頭が発見され、処分場調査の対象となった。1995年唐突に原子力機構の所有地に深地層研究所の建設計画が発表されたが、地域住民の97%が反対した。その間兼松さん達の情報公開請求など運動のおかげで、数々のボ-リング調査や処分に向けての計画が、住民に知らされないまま行われていたことが明らかにされた。2002年、瑞浪市有地に20年間の賃貸貸し契約で移転し深地層研究所建設。当初は1000mまで掘削を想定していたが、湧水が想定以上に多くその半分の深さとなった。知事からの強い要請により、2020年から埋め戻しが開始されているが、施設の構造物や配線などはそのままただ埋めているため、市が再利用するのは難しい状態で2020年3月に返還予定。
・寿都町: 泊原発のすぐ近くにあり、町長の独断で応募。地方交付金が文献調査だけでも発生するので、調査後は断ればいいと発言しているが、そんなことはありえない。地元の漁師や加工業者が中心に反対運動・・議会の解散請求や幌延の時のように周辺自治体で反対包囲網を作るなど継続中。自然派でも行った反対表明の署名は48万筆集まり、知事に手渡した。北海道新聞では連日この問題を報道しているが、私たち、他府県にはほとんど伝わってこない。
そこには、そもそもの電力供給の問題がある。大都市の電力生産を過疎地に押し付ける構造。大手電力会社が営むメガソ-ラ-や風力発電でも地域住民被害の問題が起こっている。
・核ゴミの処分は難しい。解決方法があれば教えてほしいと思う。幌延でも岐阜でも改めて確認できたことは、地下水の豊かな日本で地層処分は危険が大きすぎるということ。発生責任という考えに立ち返り作った人が責任をもって処分してほしい。設置問題が起こった地域では、住民対立が起こった。岐阜では、問題が長引くにつれて、みんな眼をつむるようになり、反対する人はごくわずかになった。
お二人からコ-プ自然派組合員の皆さんへメッセ-ジ
・久世さん: 大切なのは、自分の近くでできたものを食べることではないか。日本でできたものが凝縮して食べ物になっている。大病を患ってから、古来日本人が食べてきた米と味噌汁など大事にする思いが増した。どこに住んでいても地球規模で起こっていることに目を向け、便利な生活は誰かの犠牲の上になりたっているのでは、との洞察力が必要。
・兼松さん: 地元の有機野菜とお米、魚中心の食事。日本でできたものを安心して食べたいだけ。有機のお野菜は本当に美味しい。毎日生活の中で何を見て、食べ、買うのかを選択していると思うが、選挙にもぜひ行って欲しい。どんなことをして発言している人なのかをちゃんと知って選び、当選した後もその仕事をちゃんと見届けてもらいたい。
当日はよつ葉乳業の藤岡さんが参加してコメントをくれたり、アイリ-ンさんから力強いメッセ-ジもいただきました。