組合員活動報告
「2017年遺伝子組み換えナタネ自生調査全国報告会 基調講演 「種(たね)は誰のものか」西川芳昭さん(龍谷大学経済学部教授)」報告
2017.7.8
場所:明治大学リバティタワー
去る4月14日、わずか12時間の審議ののち、「主要農作物種子法」が廃止されました。この法律は1952年に制定されたもので、地域に適した主要農作物(稲、麦、大豆)の良質な種子の生産と普及を都道府県に義務付けることで、戦後の食料の安定供給に大きな役割を担ってきました。その後、1986年には法改正され、民間事業者も種子の開発に参入できるようになりました。
今回、突然の法律廃止の理由を農水省は、「民間企業の参入をしやすくし、多様性を持たせるため」と説明しています。しかし、それは種子法を廃止しなくても法改正や運用規定で十分に対応できることで、廃止というのは全く別の話だと西川さんは言われます。今までこの種子法のもと、多様な穀物の種子が安価で利用でき、生産する側もたべる側も多様な選択肢がありました。
法律がなくなることで、都道府県が予算をつけなくなると、種子の価格は上がり、農家は今までのように安定的に入手することが困難になるのではないか、また、コシヒカリといった品種であれば、民間業者やJAの関連会社などが独力で今後も生産・供給するかもしれませんが、各都道府県の2番手、3番手の品種は消えていってしまうのではないかと懸念されます。
今回の廃止により、多国籍企業が参入して遺伝子組み換え(GM)種子が広がり、今まで培われてきた遺伝資源が汚染されるのではないかという点について、西川さんは「種子法があってもなくても、それは起こり得ること。例えば、花粉症緩和米という形で農水省はすでにGM稲の普及を狙っています。」と指摘されます。
今後、農業者はどうすればいいのでしょうか。農家は必要な種子、守っていきたい種子をなんとかして採っていくこと、種子の生産や検査などの実務に関わってきたJAや関係組織はノウハウがありますので、もっとサポートしてJAに対して声をあげていくことも大事。消費者については、啓発につきると思います。食べものや農業への関心を高め、正確な情報をもって、自分が食べるものをきちんと選択していく力をもつこと、とお話されました。