組合員活動報告
「ボルネオ事件」上映会&トムさんのお話
□開催日:2021.4.17(土)
□主催:ビジョン平和
□会場:勤労会館&オンライン(zoom)
マレーシア、ボルネオ島サラワク州の豊かだった熱帯雨林は、現在5%のみ残すだけ。不法な伐採が繰り返され、アブラヤシのプランテーションが拡大し続けた結果、熱帯雨林は消失し、多くの野生生物は絶滅、先住民族の生き方を奪ってきました。
今回上映した「ボルネオ事件」では、森林と人権を保護すべき首相タイブ・マハムドが、先住民の権利を奪い、森林を売り渡すことで巨額の富を得ていたのに対し、環境活動家や一部の先住民が命がけで汚職を追求し、独裁政権を倒した闘いが描かれていました。
上映後は日本語版製作・監訳し、サラワクの熱帯林を保護し先住民族族の人権を守る「サラワク・キャンペーン委員会」トム・エスキルセンさんに、映画の解説に加え、私たちが汚職と森林破壊に深く関わっていることについてお話しいただきました。
サラワクで不法伐採された木材の最大の輸出先は、残念ながら日本なのです。1960年の木材輸入の自由化以降安価な木材が流通し、日本では特にサラワクからの木材が大量に輸入されてきました。また、タイブは土地と熱帯林を私物化し、環境と人権を無視した過剰な伐採と輸出の中で、ブローカーや企業を巻き込み様々な手段でお金を手に入れ、莫大な財産隠しの背景にはメガバンクの責任も問われています。東京五輪関連施設に使われる資材にも、不正伐採された木材の使用が発覚し、私たちが利用する日本の民間大手金融機関でも、不法取引に資金提供をしている可能性が明らかとなりました。
私たちのお金は知らないところで不正取引に関わり、生き方を奪い伐採された木は、私たちの日常生活に使われています。プランテーションとして奪われた土地で作られるパーム油は、大量の加工食品や消耗品となっています。知らないところで環境破壊や不正な搾取に関わらないためにはどうすればいいのでしょうか。自分たちの使っているモノ、お金の背景を知り、不正な油・木材は使わない、問題意識を伝えるなど、生活の中の選択を見直し、消費者として力を発揮する重要性を学びました。
<参加者アンケートより>
✦日本がサラワクから、非常にたくさんの(サラワクの輸出量の約半分も!)木材を輸入していること、日本には違法木材を排除する法律は何も無いこと、国産材を使用し、木のあたたかみを生かしたとされる、新国立競技場のコンクリート型枠に、サラワクの合板枠材が使われていること、など、知らない事実がたくさんあり、ショックでした。 籠の中に生活に必要なもの一切を入れて持ち歩くという、超ミニマムな生活をしているプナン人の生活の場を奪ったものに囲まれて、私たちは生活しているかもしれない。それもショックでした。
✦映画には出てこなかった、日本との関わりまで教えてくださり、ありがとうございました。小学生の子どもと一緒に聞き、家族で、身の回りのものと世界との関係を考えることができました。私たち大人の行動を、子どもたちに見せていこうと思います。
✦日本が森林輸入の最大顧客、オリンピックの建物も関係している、銀行も関わっている、銀行や保険の預け先についても考えさせられます。