③アリモト

 1952(昭和7)年の創業以来、姫路市でかりんとうの製造をなりわいとしていた同社。病弱だった創業者の有元正さんは、体質改善のため栄養豊富な玄米食を取り入れていましたが、玄米は冷えるとおいしくなくなります。「玄米をいつでも手軽に、安心して食べられるように」と、自然農法で育てた玄米を使った煎餅を約5年かけて開発、「玄米このは」と名付け1961年に発売しました。まだ、食の安全に対して社会の関心が高まる以前のことでした。


 2代目で現代表の年信さん、安全・安心を大切にした父の思いを継承。2004(平成16)年には、有機 JAS認証取得のため、エアシャワーなどの衛生管理設備を整えた新工場を加西市に設立、「玄米このは」をはじめさまざまな煎餅を製造しています。


 原料には、県内や岡山県などで有機栽培された新米を厳選。「古米を使う所が多いのですが、米は野菜と同様に生鮮品で、新米の方が風味や食味をしっかり感じられます」と年信さん。しょうゆ、ゴマなども全て有機JAS 認証のものを使っているそうです。
 

 品質管理を徹底し、生地作りから出荷まで一貫して行っているのも同社ならでは。玄米を製粉して蒸し、練って薄く延ばしたものを型で抜き、一晩乾燥させて焼き上げます。「玄米は生地がまとまりにくいので、蒸す際に水分と蒸気圧の調整が必要です。また、水分バランスが崩れると割れやすいので、火力の調整にも気が抜けません」。2020 (令和2)年には、さらに安全な商品を目指し、国際規格の食品安全管理認証 「FSSC22000」も取得しました。
 

 初代作「玄米このは」に始まり、それをランチ代わりになるよう一口サイズにした2代目考案の「有機玄米セラピー」、さらに年信さんの息子、誠次朗さんが若い女性向けに開発した薄焼き煎餅「有機玄米プラス」など。商品ラインアップはおよそ350種を数え、創業者のこだわりは時代を超えて脈々と受け継がれています。